「世界遺産姫路城マラソン」のコースにもなっている、城南線。お城の真ん前から西に向かって、4車線の道路が<城の西>エリアをズドーンと横切る。ロードサイドには、新しく建った郊外型店舗やおしゃれな医院が並んでいる。古い建物がなくなって新しい建物がつくられ、町は上書きされていく。
長男が小学生だったころ、<城の西>エリアを舞台に「忍者まちを走る」というまち遊びをしたことがある。
頭の中で「忍者に変身!」という遊び心のボタンを押すと、用水路は隠れながら走れる道に見えてくる。電信柱は、見つからないように自分を隠してくれる味方になる。家と家の間の細い路地は、どこへ抜けられるだろうかとワクワクする道になる。尾行されていると感じたら、横道にそれてダッシュで走ると相手の背後にまわることができる。だんだん自分と町との距離が狭まってくる。
子どもだけでなく大人も頭と身体をフル回転させて遊べる。そんなわくわくする町並みが、ここ<城の西>には残っている。
ライター:米谷尚子